いい夫婦の定義って?マンガ『1122』感想、ネタバレ
夫で家族でズッ友で、いちばん信頼できる人。
だけど、彼とキスはしたくない。
こんにちは、ドロドロ恋愛系マンガが大好きなたっつん(@tatsuun7)です。
渡辺ペコさんの『1122』読みました。
『にこたま』でドロドロ恋愛には、耐性あると思っていたけど…
今作も更にショッキングすぎるーー!!!
独身の私には、刺激が強すぎたかも…。笑
『1122』は、不倫する夫とされる側の妻でありながら、共同生活を続ける不思議な2人の生活を描いたストーリーです。
- セックスレスで悩んでいる
- 夫婦のあり方について悩んでいる
- 女性の性のリアルが知りたい
渡辺ペコ『1122』あらすじ
妻・相原一子。夫・相原二也。結婚7年目の仲良し夫婦。セックスレス。子供なし。そんな二人が選択したのは「婚外恋愛許可制(公認不倫)」。おとやには、いちこも公認の“恋人”美月がいる。美月との恋に夢中になり始めるおとやを見て、いちこにも変化が……。『にこたま』の渡辺ペコが描く最新作は、結婚の嘘と真実。結婚したい人もしたくない人も――「結婚」を考えるすべての人に届けたい、30代夫婦のリアル・ライフ!
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渡辺ペコ『1122』ネタバレ、感想
渡辺ペコさんは『にこたま』で知って、大好きになった漫画家さんです。
その渡辺ペコさんの新作『1122』なんですが、やっぱりペコさんの漫画、おもしろい〜〜〜!
そして、今作も安定の生々しさとホラー展開でした。笑
みんな表立って口にはしないけど、確実に水面下では起こっていることだからこそ、マンガの題材になる。
理性と本能が戦った結果、理性が負けてしまうというその生々しさが人間の弱さを忠実に描いていて、怖いと思いつつも面白すぎてスラスラ読み進めてしまいました…!
『1122』は、公認不倫がテーマです。
家族であり、男女であることを両立することの難しさや、夫婦間の性事情などが描かれています。
主人公の一子と夫の二也は、少し奇妙な関係を築いている夫婦。
結婚7年目で、記念日もきちんと毎年祝ったりと、夫婦関係はとても良好。
でも、二也は既婚者の女性と不倫している。
しかも、一子の公認で。
「公認で不倫とかありえんやろ!!!」と思いながら読んでたんですが、”黙認”という形を取って夫婦関係を継続してる人って、結構いるんじゃないかなって思ったりしました。
だから、意外と完全なファンタジーストーリーじゃないのかもしれないですよねー…。
私が知らないだけで、こういう関係で夫婦を続けてる人はいるのかも。
愛とはなんなんだ…(混乱)
以前は、「不倫は悪だーーー!」って思ってたんですが、このマンガを読むと「不倫をすることで、家族とのバランスを取ってるのかな」と思うようになりました。
全員が全員悪い人ってわけじゃなくて、大切な家族との関係を守るために、不倫に手を出してしまった人も中にはいるんじゃないかなと。
もちろん、不倫や浮気をされた側は大きく傷つきますし、決して、私は不倫自体を肯定してるわけじゃないですが、結婚していても、誘惑に流されて恋を求めてしまう弱い人もいるんだろうなとは思います。
長く付き合った恋人が、段々家族みたいな存在になる感覚を体験したことがあるんですが、一度その人がそういう存在になると、触れ合ってイチャイチャしたいって思えなくなっちゃったんですよねー。
家族になる人は一緒にいて刺激的というより、側にいると安心できる人。
顔を見るとドキドキじゃなくて、ほっとする人。
華やかさはなく地味だけど、飲むとほっと安心するお味噌汁みたいな存在。
そして、そんな存在に変化してしまった相手を、もう一度異性として見ることはなかなかカンタンじゃないことも確かなわけで。
だから「いちばん信頼してるのに、おとやんとはキスできない」という、いちこの気持ちが、痛いほどわかる。
そこに申し訳なさも感じるけど、人間ある以上どうしようもない部分でもあり。
恋人から家族になると、相手を性的な目で見れなくなって、本能的な部分でブレーキがかかってしまうんです。
でも、人間である以上性欲はあるわけで、その行き場のない欲求のコントロールはきっと難しくて。
安心を求めてみんな結婚したはずなのに、いつの間にか毎日お味噌汁じゃ物足りなくなっていくのが人間なんですかね。
欲張りやな、人間って。
「不倫は純愛」なんて言われてるけど、結局のところ「みんな、平凡な日常の中に刺激的な非日常を求めてる」んやろうなと思う。
おとやん視点でいくと、日常はいちこで非日常は美月さん。
ひとつの容器に入れられない愛と恋を住み分けした結果であり、いちことの暮らしをうまく続けるために選んだ選択肢でもあったのかなと。
ページをめくりながら、映画『そこのみにて光輝く』の、池脇千鶴と不倫してる既婚男性、中島が言うセリフを思い出しました。
「家族、もっと大事にしたら?」と綾野剛に不倫のことを問い詰められて
中島が「家族を大事にしてるから、おかしくなるんだ!!!」
って叫ぶシーンがあるんですよ。
最初見た時は「は?何言っとんこの人!意味わからん(怒)」って思ったんですが、男性の弱さと強さを表現した深いセリフだと思いました。
日々生きてたら、嬉しいことばかりじゃなくて辛いこととか情けないことも起こるわけじゃないですか。
そんな情けない姿を見せられない。そんな状態で家に帰れないって男性もいて。
恋人や夫婦だからこそ、言えないこともあるんですよね。
大事な存在だからこそ、傷つけたくないし、泣かせたくないし、不安にさせたくないと思う。
だから、大切な人には本当の気持ちを話せない。
女性からしたら「言ってくれればいいのに!」って思うんですが、男性からしたらその女性が好きで大事だからこそ、その人には情けないかっこ悪い姿は見せられなくて。
その情けなさを吐き出せる、しがらみなく自分の悩みを打ち明けられる場所が、スナックやキャバクラだったり、見ず知らずの他人と会える出会い系、浮気、不倫に行き着くんじゃないかと思ったり。
そして、そのいう場所でストレスを吐き出せることで、家族関係が保てるという何とも矛盾した形になってるのかなと。
もちろん、バレたら崩壊するし、自分が壊すことになるんだけどね。
勘違いしてほしくないんですが、浮気や不倫自体は絶対許せません。されたことあるけど、めっちゃ傷ついたし。
パートナーには絶対浮気してほしくないけど、でも、つい浮気してしまう心の弱い人もいるんだろうな、とは思いますね。
昔、付き合っていた恋人に、彼氏の役も友達の役も父親の役も全部その人に負わせようとしてしまったことがあったんです。
結局、その恋は終わってしまったんですが「あの時、彼1人に役を全部求めずにいたら、もっと上手くいってたのかなあ」なんて思い返すことがあります。
恋人でさえ、こんな風に思うことがあったから、夫婦になるともっと表面に出てこない繊細な問題が色々あるだろうなーと。
妻として彼女は素晴らしいけど、もう女としては見れないとか。
夫として彼は立派だけど、子供が出来てから性の対象とは思えないとか。
女の人は子供産んだら旦那さんの事がどうでもよくなるって聞くし、男性は一度家族と認識したら勃たなくなる…とかあるんだろうなとか。
うーん、家族って本当に難しい。
夫婦である以前にひとりの男と女で、でも結婚して家族ができたら男性は夫であり、父にならなきゃいけなくて、女性は妻であり母にならなきゃいけなくて。
その時、抑圧された女性の性的欲求は、いったいどこへいくんだろうか。
他人同士が結婚してひとつになって、夫婦として家族として生きていくことって本当難しいなって、この漫画読んで改めて感じてます。
にこたまでもそうだったけど、ほんまに人物描写がリアルです。
「これ、友達にヒアリングしてるんかな?」と思うくらい。
既婚者女子会のえげつなさとか、ほんまにリアルで笑える。笑
「旦那とおせっせしてるー?」とか「性欲どうしてるー?」とかぶっちゃけすぎてて、男性が読んだらドン引きしちゃうやつですね(笑)
不倫が題材になっているものの、
「いい夫婦って何?」
「愛って何?」
「家族ってなんだろう?」
と、考えさせられるマンガです。
女性が社会進出したことや、LGBTの人たちの権利も認められるようになり、多種多様化した家族のあり方。
一緒に住んでるけど、籍入れてない人。
夫婦だけど、別々に暮らしてる人。
同性婚した人。
色んな形がある中で、いい家族、いい夫婦と判断するってとても難しい。
私の常識が、他の人にとっての常識ではなくなってきた時代だから。
正解がない中で、最適案を探しながら日々生きている私達。
型にはめた正解探しではなく、各々の最適案を探すことがよりよい暮らしを続けていくための秘訣なんだと思います。
いいふうふの日11月22日に『1122』2巻が発売されましたが、更にショッキングな展開になっていきます。
ま、旦那のほうだけ不倫公認にしてたら、そらそうなるわなあ…っていう納得の展開でした。笑
フィクションだけど、女性のリアルが生々しく描かれてて、だからこそ面白いし怖い!
あー、3巻が待ち遠しい!
『1122』まとめ
以上、不倫公認マンガ『1122』感想でした。!
うまく言語化できなかったけど、ほんまにいいマンガなので、既婚者の人にぜひ読んでもらいたいです。
不倫促進みたいになるかもしれんけど(笑)夫婦のあり方、家族のあり方を問ういい漫画やと私は思います。
あぁ、やっぱり渡辺ペコさんの作品は、胸にずしりと刺さるなあ…。
独身の私でも楽しめたけど、既婚者の女性が読むと更に共感しまくること間違いなし!