【ネタバレ】映画『予告犯』底辺ニートが社会に復讐するダークヒーロームービー!
生田斗真が出てる映画は間違いないから!!!
と断言する友達に誘われ、映画『予告犯』見て来ました。
見に行く前にYouTubeで予告編視聴して、
「あー、ネットリテラシー低くて中二病全開みたいなDQNな人達が、低モラルなことやらかす映画かな…?」
と思いつつ、実際映画見てみたら…
いい具合に裏切られた!
なんか、想像してた内容と違ったよ!?っていうか感動系!?
それでは、映画『予告犯』のあらすじ、感想、ネタバレ書いていきます。
- 予告犯あらすじ
- 予告犯感想・ネタバレ
映画『予告犯』あらすじ
Tシャツ姿に新聞紙の頭巾を被り、ネット上に現れた“シンブンシ”と名乗る「彼」は法では裁かれず、見過ごされがちな罪を犯した者たちを暴露。そして「彼」なりの制裁を加えていく。ネット犯罪を取り締まる、警視庁サイバー犯罪対策課の捜査官・吉野絵里香は、この謎の予告犯=“シンブンシ”の捜査に乗り出す。
筒井哲也さんの原作マンガ『予告犯』を実写化。
監督は『ゴールデンスランバー』『白ゆき姫殺人事件』でメガホンを取った中村義洋さんが担当。
主演キャストは生田斗真と戸田恵梨香。
「明日の予告を教えてやる…!」というセリフと共にネットで放送される不気味な犯行予告。実際に問題を起こしたものの、大きな罪に問われなかった人や企業を過激な方法で裁いていく”シンブンシ”と呼ばれる謎の男達の存在。
悪人を裁く映像を見た視聴者たちは、シンブンシ達をダークヒーローとして面白おかしくもてはやすようになり、制裁方法もどんどん過激さが加速していきます。
一方、そんなシンブンシ達の行動を問題視していた警視庁サイバー犯罪対策課。
シンブンシ達の正体は?そして目的は一体!?
では、以下から感想・ネタバレ書いていきます!
映画『予告犯』感想・ネタバレ
現代社会におけるインターネットを絡めた人間のドロドロした部分の描写が、ものすごくリアルに描かれていて面白かった!
職がない、友だちがいない、将来がない、付き合ったことがない、信用出来ない…といったないないないづくしの登場人物達が、社会的強者に対して予告と制裁を繰り返していく。
映画『白ゆき姫殺人事件』を見たときにも思ったけど、中村監督が取る作品は実際に存在するSNS、例えばツイッターやフェイスブックなどが描かれるところがリアリティでてて、おもしろい!
今作『予告犯』でもSNSがでてきて、生田斗真演じるゲイツたちが行う生放送は、完全にニコニコ動画だし、YOUTUBEのパロディで動画サイト「YOURTUBE」が出てきたりしてましたね。笑
そして、弱者の描写も実に生々しく描かれていました。
シンブンシと名乗る男が、ネット上で炎上を起こした人物に対して過激な報復を行うんですが、その内容もまー、酷い。
民放やったら、絶対クレームのくるような映像のオンパレード…。
- 店の調理器具で虫を揚げる動画を投稿した店員に対して、揚げたての虫を食べさせる
- Twitterで女性軽視発言をして炎上した男性に対して、元気玉注入と称してアソコにアレを…(自主規制)
- 会社面接に来た男性をバカにする発言をSNS投稿した会社員を襲撃。
ここで集団心理の面白さを感じる展開に。
初めはやり過ぎだと批判的だった視聴者達も、段々とシンブンシに共感して結果的に賛同する人たちの数が増えていきます。
この辺の描写も「実際にありそうな展開…」と思いながら見てました
「正義か!?悪か!?」というキャッチコピーにもあるように、彼らが行うやりすぎとも言える制裁に対して、賛同できるか賛同できないかがこの映画の問題定義ポイントになっています。
「私はどっちかなー?」と考えながら見てたんですが、シンブンシ達の行動は、底辺に埋もれる社会的弱者の怒りや悲しみを代弁したくて起こした事だったから、一概に「悪だ!」と言い切れない感じでモヤモヤしました…。
なぜかというと、彼らもある意味被害者なんですよね。強者が作り出した社会の被害者。
とはいえ、あれらの行動が許されるわけじゃないんだけど。
私はこの映画を完全なるフィクションだと思えませんでした。
なんか、近々同じような事する人が出て来そうな気がする。
というか、既にいてもおかしくないような。
生きていくので精いっぱいの底辺生活や、毎日バカにされてやりきれない気持ちを抱えて生きている人達なんて、きっと日本全国にいるわけじゃないですか。
だから、シンブンシ達の「見返してやりたい」という気持ちやどこにもぶつけようのない思いが痛いほどわかる人たちがきっといるんですよね。
フィクションの世界を飛び越えて、私達に訴えかけられてるような気がしました。
「そのまま、強者の言いなりで人生終わって良いのか?」
と。
あと、印象的なシーンなんですが、ゲイツが派遣社員として働いていた会社で、社員一同から受けるパワハラシーンは胸が苦しかった。
その後ゲイツをバカにしていた社員が、かわりにターゲットにされてるあたりもめっちゃリアル。(ざまーみろって思ったけどw)
それから、吉野のゲイツ追跡シーンでの2人の会話が印象的でした。
吉野「なんでも社会のせいにしてんじゃないわよ!!!」
ゲイツ「あんたにはわからない」
ゲイツ「努力出来るだけましだったんだよ、あんたは」
実は、吉野がこういった言葉を投げたのには、昔彼女も小さな頃は貧困な家庭に育ちいじめられる側の人間だった過去があって、それにも負けず自分の力で這い上がり今の地位についたという経緯があったからなんですよね。
だから、この言葉は他人行儀の慰めや説教じゃなく、吉野自身の経験から放たれた言葉なんだけど、それでもエリート街道を歩んできた吉野とゲイツの間には埋められない大きな隔たりがあり、結局ゲイツには届くことなく。
ゲイツの言葉は心の叫びにも聞こえたし、私も努力出来ない人間だから、痛いほどゲイツの気持ちがわかりました。
努力しなきゃと思うんだけど、どうやればいいのかわからないよね…。いや、頑張り方すらわからんし…みたいな。
最後、シンブンシたちは自殺を図ります。
自分たちの置かれた立場を呪い社会を呪い、自ら命を絶とうとする。
ひとりで抱え込まず周りに助けを求めていれば、あんな場所で働かずに済んだし、あんな事故は起きなかったし、ゲイツは死なずに済んだんじゃないかと。
ネット炎上させて、事件を起こしているように見えたけど、実はシンブンシたちには真の目的があった。シンブンシたちに共感を得るものも出てくる。
その中のひとり、青山 祐一(窪田正孝)は取調室でこう言い放ちます。
「誰かの為になることがわかっていれば、それが例え自分の利益にならなくても行動することがある。」
物事の大小に関わらず、誰かのためになるとわかれば人は動くと。
作品の中で鍵となるセリフでした。
ゲイツも仕事中に死んでしまったヒョロ / ネルソン・カトー・リカルテ(福山康平)の遺骨を父に届けて欲しいと吉野に最後の意思を伝えます。
ヒョロが死ぬ前に「オレ、トーサンニアイタイ!」と言っていたから。ヒョロの意思は、ゲイツを通して実現されます。
困った時には抱え込まず、殻にこもらずに、まわりに助けを求める事が生き抜く方法じゃないか。誰だって必要とされたいって思ってる。恥ずかしいけどSOSを出せば、周りの人は動いてくれるのかもって思えましたねー。
社会のせいにして自分を追い詰める前に、SOS出していこう。
まとめ フィクションと思えないほどリアルで考えさせられる作品でした
というわけで、映画『予告犯』感想・ネタバレでした~!
想像してたより面白かったです!
っていうか、この作品戸田恵梨香ファンのために作られた映画な気がして仕方がない…。
カフェである言葉を叫ぶシーンはリプレイでなんども見たい。笑
ちなみに吉野は原作イメージを忠実に再現してます。さすが戸田恵梨香サマ!
▼原作漫画も面白いので、ぜひ。
そして、予告犯同監督作品の『白雪姫殺人事件』もおすすめです。
中村監督作品は、SNSを利用した人間の心理が巧みに描かれててやっぱり面白い。
Amazonプライムビデオで無料で見られるので、気になる方はこちらもどうぞ。